振り向いても未来

楽しいものに吸い寄せられる性質です

超個人的・本棚選抜マンガ紹介2017秋

みなさんこんばんは、将来の夢は「好きな書籍しかない書斎を持つこと」なたんぬです。

 

ツイッターの紹介文にも「劇場と美術館と本屋が主な生息地」と書いていますが、とにかくその3箇所が大好きです。いずれかで命を終えたいくらい大好きです。(迷惑)

 

小さい頃から読書が好きでしたが、社会人になってからは息抜き感覚のため、短編集やエッセイなど気負いせずに楽しめるものばかり手に取るようになりました。

 

近頃は近所のTSUTAYAがコミックレンタルを始めたこともあり、どっぷりとマンガの世界にハマっています。そんな私がこの秋おすすめしたい本棚選抜のマンガたちをご紹介したいと思います。

 

 美しさはプライド

繕い裁つ人池辺葵

繕い裁つ人(1) (Kissコミックス)
 

 こちらはまだ手元に置いていないけれど、絶対本棚選抜に入れたいと決意している作品。TSUTAYAのコミックレンタルで読みましたが、ここ最近で読んだマンガでいちばん素敵だと思った作品です。

 

下町の洋裁屋の女主人を中心に、洋服を身に纏うことにまつわる様々な物語が交錯します。登場人物たちそれぞれのプライド、プロ意識、美意識。「品性のある美しさがマンガから漂ってくる感覚」って、実体験として少なくないですか?出てくる洋服のしっとりとした美しさたるや。うっとり。派手ではない美しさが優美。

 

過去には映画化もされているようで、どこかのタイミングで観たいのですが、近所のTSUTAYAには取り扱いがない!かなしい!

 

とても素敵な作品で、お金に余裕ができたら手元に絶対置きたい!本棚に並べたい!この秋にダントツでおすすめの作品です。作品の雰囲気も秋っぽいし。

 

 

 秘めるからこそ愛情

ACCA13区監察課オノナツメ

 

今年夏ごろ?ハマりすぎて私がツイッターで騒いでいたのも記憶に新しい方もいるのではなかろうか…。大好きなオノナツメ先生の作品です〜〜♡勧めたいオノナツメ先生の作品がありすぎて、どれにしようか迷った結果、こちらにしました。

 

私がオノナツメ先生を好きな理由のひとつ…というかオノナツメ作品の魅力のひとつが「異国情緒があってオシャレ」だと思うんですが、それを詰め込んだかのような作品です。13区それぞれが別の国のような描写で、それぞれの区で起こるエピソードがまたさすが。

 

最後の最後まで伏線回収があって、人間関係を考えると言いようのない感動があります。伏線回収したあとに伏線を確かめたくてまた最初から読みました。

 

あと登場するスイーツとパンがとても美味しそう。ちょうどパン屋さん巡りにハマっていた時期だったので、作品の中のパン屋さんに行きたくてたまらなかったです。

 

オノナツメ作品が高校の頃から好きで、当時は友人から借りていた作品もちまちまと買い足しているので、いつかオノナツメ作品縛りで紹介ブログしたい。絶対もう誰かがやってるけど紹介したい。

 

「切なさ」という存在

「少年少女」ねむようこ 

 お気付きの方も多いかと思いますが。私がマンガを購入する上で、問答無用で絶対信頼してる漫画家さんのひとりです。ねむようこ先生。大学時代の後輩に「先輩絶対好きです。読んでください」と渡された各種ねむようこ作品による布教活動にしてやられました。前述したオノナツメ先生とねむようこ先生に関しては、口コミや試し読みは必要なく購入しています。だって絶対好きだから!

 

その中でも夏くらいに購入したこの短編集がたまらなく良いのです。どの作品も胸が苦しくなる切なさがあってほろりとします。分かります?春の桜が散るとき、夏の夕暮れの帰り道、秋の夜長、冬の早朝の独特な切なさ。そのタイプの切なさ。みんながたまらなく好きな切なさ。ねむようこ先生のそういう描写がとても好きなんです、私。心が洗われる切なさ。それが凝縮されている短編集です。

 

表題作の「少年少女」も好きだけど、私は「県立マンモス西高等学校」も笑えて泣けて大好きです。読み手によって好きな作品が違いそうで読んだ人同士で色々話したい一冊です。

 

ねむようこ先生も他にも勧めたい作品が山盛りあって、それも紹介ブログしたいなぁ。ねむようこ先生の恋愛の描写も可愛らしくて大好きなんだよなぁ♡

 

 切り取れば全員が主役

武富智短編集 A SCENE」武富智

 

 

 「もう男子ってほんと馬鹿!」って思いつつ「でも可愛い」なんて思ったことありませんか、女子のみなさん。ありとあらゆる角度からの愛しさを纏った「男って馬鹿よねぇ…」を詰め込んだ作品集です。短編集ブームだったときに購入した中での当たり作。さらっと読んでしまえるけれど、色んな感情に共感できる素敵な一冊です。

 

膨らませたら短編映画にもできそうな作品が多くて、私はとっても好きで手元に残しています。リンクを貼りたくて検索していたらA SCENEだけでなくBとCも出版されていることを知りました。次に本屋さんに行くときには探してみようかと思います♡

 

 

 

さて。キリがないからひとりの漫画家でひとつの作品!と決め込んでご紹介しましたが、選んでみたら秋の夜長にぴったりな作品たちです。読みながら物思いに耽っていただけたらなぁと思います。おすすめのマンガがあったらぜひぜひ!教えてください♡

 

洗濯物を干す気力を毛布に吸い取られている真っ最中のたんぬでした!

 

選挙の度に思うこと〜田舎の家族の話〜

開票特番を見るたびに思い出すことがある。3年前の8月、私は春に大学を卒業したものの就職せず、実家のある長野県でフリーターをしていた。今思えば家族全員が居場所がなく、鬱々と、悶々としていた時期だった。

 

日曜日の朝、愛犬が死んだ。

 

数ヶ月ものあいだ、日に日に弱っていき、8月になってからは更に目が離せなくなっていた。家族のなかで翌日が休日の者が交代で夜通し起きて側についているような状態だった。

 

その日曜日は珍しく家族全員が休日で、土曜の夕食時に「投票は運転できる人とできない人でペアになって、交代で行こう」と家族会議がなされていた。知事選だった。14年家族の潤滑剤だった愛犬がいつ死んでもおかしくない状態であっても、なんの迷いもなく私たち家族は投票に行く気でいた。

 

だが誰一人として投票には行かなかった。その日の朝、愛犬が死んだ。

 

前日の夜から祖父母の起きる5時過ぎまでは私が側についていた。喘息のような発作が起きると、ゆっくりと背中を撫でた。時折こちらを見つめる瞳があまりに苦しそうで、3年以上経った今でも鮮明に覚えている。でも堪えられずに私が涙を流すと、彼は元気だった時と変わらず、必死にすり寄ってきた。伝う涙を舐め取る力はもうなかったけれど。死を目の当たりにした時、当人の方が誰よりもきっと冷静なのだ。

 

5時過ぎに愛犬を祖父母に預け、私は眠りについた。そして3時間ほど経った頃に母に叩き起こされた。その時が静かに訪れていたのだ。

 

祖父がテレビを見ながらうたた寝をしていたその時、母が食器を片付けていたその時、祖母が洗濯物を干していたその時。その全てを見届けられる位置で、彼は静かに息を引き取っていた。目を離したほんの一瞬だったそうだ。

 

家族全員が声をあげて泣き、泣き疲れて眠り、起きて姿を見てまた泣き、そのうちに夜になった。夕食時に誰かがニュース番組をつけた。そのとき母がぽつりと言った「そういえば選挙忘れてたね」の言葉がやけに大きく部屋に響いていた。

 

今でも開票特番を見るとその声を思い出す。そして投票に行くと「まだ投票できる余裕がある」と思う自分がいる。家族を失った悲しみの中ではその存在すら忘れてしまうのだから。

 

今回の選挙では遠く離れた実家の家族たちも台風の近づく中、揃って投票に行った様子で、投票後にほぼ毎回寄っていた、投票会場の小学校近くのラーメン屋さんの写真がメールで送られてきた。選挙を通してきちんと私たち家族は未来を考えて歩き出せている気がした。

糸を紡ぐということ~刺繍懸装幕展にて~

4月の頭に京都文化博物館で行われていた「刺繍懸装幕展~未生以前の魂に戻る~」にお邪魔しました。そもそもの私の勉強不足はあるので、全く「京繍」「刺繍」の世界に触れてこなかった人の素直な感想だと思って読み流してください。とにかく圧倒されたので書き残しておきたかっただけなのです。

 

当たり前すぎて忘れがちなことにまず言及しておきます。

「布って細い糸を編んで作られたもの」なんです。

どうでしょう。当たり前でしょう。ですが実際に作品を目の当たりにすると確実に圧倒されます。

 

素直に、無邪気に感想を述べると「これが布?これが糸?」です。

まるで絵画なんです。ほとんど絵画なんです。

これが糸だと思うと恐ろしいと感じるほどに絵画なんです。

 

これらの作品を作られた方から直接様々な制作秘話を伺うことができました。

一対の作品は制作に30年の月日がかけられていたこと、既製の布は一切使わずに全て手縫いの細い糸で作られていること、作品のモチーフに中国の古典が使われていること、伊勢神宮への参拝が影響していること等々。製作者の様々な経験や思いがひとつの作品に糸と同じように紡がれていたのです。

 

そして製作者の方は重ね重ね「周りの方々の縁に恵まれて…」と仰っていました。聞くと幕以外の細かな装飾部分それぞれに別の方々の力添えがあり、そしてこの展覧会の開催も様々な方々の尽力があったとのことでした。

 

彼は糸を紡ぎながら、様々な経験を紡ぎながら、様々な方々と作品を紡いでいたのです。

30年かけて糸とともに織り込んできた圧倒的な作品の迫力は、素直に身震いするほどでした。

「コインロッカーベイビーズ」と母と娘の話

それはそれは軽率に足を踏み入れた舞台だった。

2016年の夏、友人を送り届けて帰ろうと思っていた。「コインロッカーベイビーズ」前知識ゼロ。出演者も友人を連れて劇場に向かう道中で知る。

 

それにしてもヘビーだった。

暑苦しいほど毒々しかった。

息苦しいほど痛々しかった。

そしてとてつもなく文学的で観劇後の胸のもたつきがあった。

 

パンフレットを買い、この作品をとにかく読み解きたかった。自分の中で飲みくだしたかった。噛み砕いてすっきりしたかった。原作があることを知り、本屋をはしごしてようやく手にした。読み始めたものの、これまたヘビーだった。なかなか進まず、途中休憩を挟みまくりながら読み切るまで半年かかった。舞台のワンシーンワンシーンを再度目撃しながら飲みくだして…の半年だった。

 

帰省の時に読みきろうと黙々と読書していた私に「何をそんなにかじりついているの?」と母は尋ねた。母は「まー!懐かしい!私も10代の頃買って読んだわ」と嬉々として話し出した。

 

学校で村上龍作品を読んでいたところ、内容が過激すぎると担任に取り上げられた「限りなく透明に近いブルー」のエピソードや、まさか彼が「13歳のハローワーク」のような本を書くとは思わなかったという話がそれはそれは花が咲いた。母が多感な頃にその時代を彩っていた作家の作品を、まさにその娘が多感な頃に手にしている。なんとも不思議な巡り合わせだった。

 

長いことアイドルの、殊更ジャニーズのファンをしていると、各方面から「アイドル舞台の?」「ジャニーズ舞台の?」と少し小馬鹿にされることがある。それは一概に否定もできなくて、正直ファンであっても小馬鹿にしたくなるものは多々ある。けれどそれはアイドルだからとかジャニーズだからと括る類のものではない。

 

今回の軽率に観劇した舞台から原作への作品の広がり、そして母と娘が世代を超えてそれぞれが手にしていたという広がり。その一連のきっかけが俗に言う「アイドル舞台」「ジャニーズ舞台」だったという事実が確かにある。文学や文化の間口は広い方がいい。高尚な世界ほど入口は覗きやすい方がいい。興味を持てた方がいい。頭では分かっていたがそれを肌で感じた一件だった。

 

きっかけはなんだっていいじゃない。良いものには多く触れられた方がいいじゃないか。それくらいのスタンスでこれからもきっと軽率に面白い世界を探して歩いて行きたいと思います。

ムーミン絵本の世界展【大丸京都店】

2017/3/20

お邪魔してまいりました。

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入口からムーミンスノークのお嬢さんのお出迎えでムーミンの世界が始まります。最近の展覧会や美術展はフォトスポットが楽しい。繁忙期はシャッター要員のスタッフさんが居たら楽しいよね。できたら一緒に座れたらいいよね。フォトジェニックだよね。

 

壁面のカラーもトーベヤンソン独特の色彩を用いたカラフルなもので、ところどころキャラクターたちが描かれていて絵本の中の展覧会のよう。壁面のキャラクターたちが全部子供たちの目線なので、子供たちが嬉々として辿っていたのが愛らしかったです。どうしても原画は大人の目線になってしまうもんね。もちろん大人もわくわくする内容です。

 

ムーミンシリーズのなかでも特に絵本に特化した展覧会なので、実際に筆をとっているのはカーラ夫妻なのですが、適度なポップさもあって子供も楽しめる展覧会です。もちろん大人も「この絵本見たことある!」と懐かしくなります。

そういえば小さい頃は絵本じゃなくてコミックスのムーミンが読んでみたくて、お母さんの留守中にお母さんの本棚から拝借してドキドキした気持ちを思い出しました。当時はコミックスのムーミンシリーズの哲学性なんて微塵もわからなかったのですが、なんだかコミックスのムーミンは大人の読むものっていう認識があったんですよね。白黒なのが余計少し怪しげな雰囲気のあるムーミンシリーズの世界観を助長させるといいますか。

 

世代を超えて愛されるものって世界中に数多くあると思うのですが、共通点って「どの媒体に姿を変えても中身がある」っていうことだと思います。幼い頃はアニメ、字が分かるようになって絵本、そして大人になってからはコミックス。そして足を伸ばして展覧会もいいなぁなんて思った休日でした。

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4/3まで開催ということなのでお近くに寄られた際にはぜひ。作品自体は30分ほどで見られるボリュームかなと思います。物販も充実しておりますのでそちら目的の方も損はないかと思います♡